無色性と高い可視光透過率を両立した新調光ミラー材料を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は8月4日、透明な状態と鏡の状態の切り替えができる調光ミラーの材料として、無色性と高い可視光透過率を両立した新たな合金薄膜を開発したと発表した。調光ミラー製の複層ガラスをオフィスビルの窓に使用すると、通常の複層窓ガラスに比べて冷房にかかるエネルギーを30%以上減らせる可能性があるため、今後耐久性を高めるなどして実用化を目指す。
 開発した新材料は、マグネシウム・カルシウム合金薄膜。薄膜の作製手法であるスパッタ法を用い、ガラス板上に金属マグネシウムと金属カルシウムを同時にスパッタして合金薄膜を蒸着、その上にごく薄くパラジウムを蒸着する方法で作る。
 この新合金薄膜は、作製時は銀色の鏡状態だが、水素を含んだ雰囲気(ガス)に曝すと透明になり、酸素を含んだ雰囲気に曝すと鏡状態に戻る。調光ミラーは、その切り替えが可能な二重構造のガラスで、開発した新合金薄膜は透明状態の時に無色で、可視光の透過率が60%と高いのが特徴。
 従来の少し黄色みが残るマグネシウム・ニッケル合金材料や可視光透過率が低いマグネシウム・チタン合金材料に比べると光学特性は非常に良好という。
 今後は、透明状態と鏡状態を繰り返し切り替えることによる性能劣化の抑制研究などに取り組み、冷房負荷を低減できるオフィスビル用窓材として実用化を目指す。

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新材料で作った調光ミラーの透明状態(提供:産業技術総合研究所)