羊のフンから未利用バイオマスの資源化に好適な新細菌を発見
:農業・食品産業技術総合研究機構/米ジョージア大学

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は8月4日、米国ジョージア大学と共同で70ºCで最も効率よく増殖する高度好熱細菌を羊のフンから発見したと発表した。この細菌は、稲ワラなどをバイオマス資源として利用する際の障害となるヘミセルロース成分を分解できるため、未利用バイオマスの活用に役立つと期待される。増殖速度が最大になるのが65℃以上の高度好熱嫌気性細菌を家畜のフンから単離したのは世界で初めて。
 発見したのは同機構・畜産草地研究所の横山浩・主任研究員ら資源化システム研究チーム。実験では、稲ワラなどの繊維成分ヘミセルロースの一つであるキシランを含む培地に羊のフンを接種、74ºCの無酸素(嫌気)条件で培養した結果、キシランを効率よく分解する細菌が単離できたという。さらに詳しく調べたところ、44~77℃で増殖可能で、特に70ºCの時に増殖速度が最大になることを見出した。
 農業廃棄物系バイオマスは、その主成分が分解の難しいセルロースやヘミセルロースなどの繊維成分であることが資源化の大きな障害になっている。これに対し、この細菌はヘミセルロースのうち稲ワラやブナ、樺の木に含まれる様々な種類のキシランをバイオ燃料(バイオエタノール)の原料として利用可能なキシロースに分解できるため、研究チームは未利用バイオマスの資源化に役立つと期待している。
 研究チームは、この新しい細菌に「カルディコプロバクター・オーシマイ」という名称を付けた。この細菌は、進化的に見て既知の細菌とは非常に離れているため、国際原核生物分類命名委員会によって「種」やその上の「属」より分類学的に上位に位置する新しい「科」として認定されたという。

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