準天頂衛星初号機「みちびき」、9月11日に打ち上げ
:宇宙航空研究開発機構/三菱重工業

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は8月4日、不具合の懸念からの部品の取り替えで打ち上げが延びていた準天頂衛星の初号機「みちびき」を9月11日午後8時17分から同9時16分の間に同機構の種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から「H-ⅡA」ロケット18号機で打ち上げると発表した。悪天候で打ち上げられない場合に備えての予備日は、9月12~30日までとなっている。
 「みちびき」の打ち上げは、当初8月2日に予定されていた。しかし、海外メーカーから購入した「リアクションホイール」と呼ばれる姿勢制御装置に不純物混入の怖れが懸念されたため、打ち上げを延期して部品交換していた。その作業が終了、打ち上げの見通しが得られ今度の発表となった。同機構は、この決定を同日開かれた宇宙開発委員会に報告した。
 準天頂衛星システムは、日本近辺で天頂(真上)付近に常に1機の衛星が見えるように、静止衛星と周期が同じ複数の移動衛星を軌道傾斜面を違えて配置した衛星システムのこと。こうすると山間地やビル陰などに影響されることなく、全国をほぼ100%カバーする高精度の衛星測位サービスが可能になる。
 同機構は、準天頂衛星システム開発の第1段階として「みちびき」にGPS(全地球測位衛星システム)同様の測位信号を放送する機器を搭載するなどして、GPSの補完・補強に関する技術と利用の実証を計画している。その結果を評価の上で初号機を含めた3機の準天頂衛星によるシステムを実証する第2段階に進むとしている。
 「みちびき」の衛星本体は、高さ6.2m、幅3.1m、奥行き2.9mの箱形で、翼端間25.3mの2翼式太陽電池パドルを付けている。打ち上げ時の質量は、約4t。傾斜角45度、高度約42,000㎞の準天頂軌道を周期23時間56分で回る。

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軌道上の「みちびき」の想像図(提供:宇宙航空研究開発機構)