衛星画像の解析をパソコンで行えるソフトを開発
―アイコンで順次操作、クラウド上でシステムを構築
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は10月22日、複雑なプログラミングが必要な衛星画像解析システムをクラウドコンピューティングを利用して容易に構築できるソフトウエア(Lavatube2)を開発したと発表した。様々な画像解析処理を行うプログラムをアイコン(絵文字)で表現、それらを順次結びつけるだけで目的のシステムを構築できる。ITや画像処理の専門家でなくても大規模な衛星データを扱えることから衛星画像情報の活用を促進できるとしている。
 衛星画像をコンピュータで高度解析処理すると、環境や地質、自然災害などの調査、研究に役立つ付加価値の高い情報を得ることができる。しかし、衛星画像は情報量が極めて多く高速処理が必要であり、解析方法も対象や目的によって異なるため、地理や地質、災害対策などの研究者の多くは衛星画像の活用にITや画像処理の専門家の助けを必要としている。
 産総研が今回開発したのは、こうした高度な画像解析を手元のパソコンで容易に行えるソフト。実行エンジンとユーザーインターフェースの2つのパートから成り、実行エンジンはクラウドコンピューティングを利用、インターフェースは、通常のWebブラウザ(インターネットをするためのソフト)で提供される。
 衛星データの検索、取得、カラー変換、輪郭抽出など画像処理に必要な個々の機能はアイコンで表示され、処理の流れに沿ってそれらを順番につなげば目的に応じた画像解析システムが完成する。データの解析処理はクラウド側で実行されるため、クラウドコンピューティングの計算能力を活用して大規模なデータを高速に処理することができる。
 産総研は、新開発ソフトLavatube2を同研究所が開発中の衛星データ解析システムに組み込み、地球観測やITの研究者、技術者が利用できるWebサービスとして提供、実証実験する。また、一部の機能を一般向けに公開し、自治体における防災計画の策定などのニーズ掘り起こしを行う計画。衛星データ解析だけでなく、医療画像や監視カメラ映像など大規模な画像データ解析の活用が望まれている分野への展開も図りたいとしている。

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