国土交通省国土地理院は4月1日、平成25年度から全国の電子基準点で観測した日本とロシアの測位衛星のデータ提供を開始すると発表した。昨年7月から東北地方などで先行して提供を始めており、4月1日には東日本のデータ提供を開始、5月10日を目途に全国のデータ提供を行う予定という。
■ビルや樹木など障害物の影響排除
電子基準点はGPS(全地球測位システム)に代表される測位衛星の電波を受信する施設。平均20km間隔で全国に1,240カ所設置されている。観測データは国土地理院の中央局に集められ、地殻変動をミリメートル精度で監視したり、民間の位置情報サービスに利用されたりしている。
米国が運用しているGPS以外に近年、測位衛星としてロシアの「グロナス」や日本の準天頂衛星「みちびき」が利用できるようになってきたことから、国土地理院では全基準点でのそれらの受信対応を急いでいた。
GPSに加えてこれらの衛星測位システムを利用すると、ビルや樹木などの障害物によって衛星信号が受信しにくい都市部や山間部でも測量できる場所が広がり、測量時間の短縮も期待できるという。リアルタイム測量の安定性も高まるため、建設機械の制御などへの活用も期待できるとしている。