イネの病害抵抗性の仕組みを解明
―抵抗遺伝子「Pb1」が特定タンパク質に作用
:農業生物資源研究所

 (独)農業生物資源研究所は6月13日、イネの重要病害である「いもち病」に対するイネの病害抵抗性の仕組みを解明したと発表した。いもち病に高い抵抗性を発揮する遺伝子として「Pb1(ピービー・ワン)」と呼ばれる遺伝子がこれまでに見つかっている。そのPb1遺伝子と、イネがいもち病の病原体に感染した時に働く病害抵抗性を高めるタンパク質「WRKY(ワーキー)45」とが結合すると、強いいもち病抵抗性を示すことが研究の結果判明したという。

 

■特定タンパク質の分解を抑制し抵抗性高める

 

 わが国で、いもち病防除のために使われている農薬の費用は、年間約220億円にもなるといわれる。このため、いもち病に強いイネの開発が望まれ、「いもち病に強くなる遺伝子(抵抗性遺伝子)」Pb1を持つイネが20品種以上作られている。
 今回の発表は、いもち病に感染すると、Pb1遺伝子を持たないイネでは、いもち病感染により増加するWRKY45タンパク質の分解が生じて抵抗性が弱まり、Pb1遺伝子を持つイネではPb1のタンパク質がWRKY45タンパク質と結合してWRKY45の分解が抑制され、強い抵抗性が誘導されることが判明したというもの。
 同研究所は、Pb1タンパク質のWRKY45タンパク質に対する結合力をさらに高めるなどPb1遺伝子の機能を強化することで、「高い病害抵抗性を安定的に発揮するイネの開発が期待され、環境負荷の少ない減農薬栽培が実現できる」と見ている。
 この研究内容は、6月4日付けの米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。

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