(独)農業・食品産業技術総合研究機構は5月10日、北海道の畑作北限地域でも栽培できるソバの新品種を開発したと発表した。
栽培種のソバには、広く食べられている「普通ソバ」のほかにもう一つ「ダッタンソバ」と呼ばれる種類がある。新品種は、そのダッタンソバで、ポリフェノールの一種「ルチン」を極めて多く含み、開発を担当した同機構北海道農業研究センターは「満天きらり」と名付けた。
ダッタンソバは、中国をはじめ、ロシア、欧州連合(EU)諸国、ネパールなどで栽培され、日本でも北海道を中心に全国で300ha(1haは1万㎡)余り作付けされている。
新品種「満天きらり」は、寒さにより作物が限られている北海度のオホーツク海沿岸部など畑作北限地域でも栽培が可能で、従来のダッタンソバよりルチン含量が多いほか、苦味が弱く味が良いことから、「高付加価値な加工食品製造に適した品種として地域産業の活性化に貢献するもの」と同機構は期待している。
従来のダッタンソバには、麺を作るために粉に水を加えると、含まれているルチンの大部分が酵素(ルチン分解活性)によって分解され、味が強烈に苦くなる難点があったが、「満天きらり」のルチン分解活性は極めて弱く、麺にルチンがそのまま残るという。
同機構は、「満天きらり」で作ったソバ麺中のルチン含量が従来のダッタンソバの標準品種の麺の40倍以上になることを確認している。
中国では、ダッタンソバが約40万ha栽培され、苦味の弱い品種ができればさらに市場規模が拡大するとみられていることから、同機構では「中国などへの輸出品目にまで育つことを期待している」としている。
No.2013-23
2013年6月10日~2013年6月16日