医療機器用ソフト開発キットを無償公開
―年度内に臨床応用などへの実用化支援へ
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は9月19日、内視鏡の画像処理などを行う医療機器用ソフトウエアを開発するためのキットを同日付けで無償公開すると発表した。医療現場の臨床スタッフが使いやすいシステムの開発が容易になるキットを公開することで、ソフトを中心にした医療機器の開発を支援、企業や大学で生まれた新しいアイデアの早期実用化につなげる。

 

■新産業としての育成を狙う

 

 開発したのは、産総研ヒューマンライフテクノロジー研究部門の鎮西清行副研究部長。
 医療機器と画像処理などのソフトは、これまで一体で製造販売することが義務付けられていたが、今年5月に閣議決定された薬事法改正案でソフト単体でも製造販売できる見通しとなった。これを受け、医療機器用ソフトの開発を加速し新産業として育てる狙いでキットの開発に取り組んだ。
 開発したキットのソフトを小型パソコンに取り込めば、内視鏡やカメラがとらえた画像を合成するなど診断用や教育用に処理するソフト開発が容易になる。スマートフォンを使った医療機器の設定変更ソフトなどの開発もできるという。
 これまで大型のパソコンが必要で原価も100万円近くかかった「遠隔手術手技指導システム」の簡易版を、キットを利用して小型パソコンで開発したところ、総額10万円以内の原価に抑えることができた。
 産総研は今年度内に、キットを活用したソフトを中心とする医療機器開発と臨床応用への実用化の支援活動を始める計画だ。

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