筑波大学附属病院は1月17日、重い心臓病を抱え体重わずか1,100gという「極低出生体重児」で生まれた女児への2段階に分けての段階的心臓修復手術に成功したと発表した。手術を行ったのは、同病院小児集中治療センターの平松祐司教授らのグループ。出生体重が1,500g未満の新生児を極低出生体重児と呼び、その心臓修復手術の成功は、世界的にみてもわずかという。
■危機脱し体重3,400gで退院
手術した女児が生まれたのは、昨年の5月。右心室と左心室を隔てる壁に穴があく「心室中隔欠損症」や、心臓の大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が閉じないでいる「動脈管開存症」などの診断を受けた。生後まもなく女児は重い心不全に陥ったことから、まず肺に向かう血流を減らす1段目の手術を行った。4カ月後に体重が2,700gに増えた時点で、右心室と左心室を隔てる壁に開いていた穴をふさぐ2段目の根治手術を施し、成功した。
術後、6日間にわたり補助的な人工心肺装置を装着するなど一時極めて危険な状態となったが、回復。根治手術から3カ月後の1月10日に体重3,400gで退院した。後遺症はないという。
こうした医療を支えたのが、2013年1月に同病院に新設された小児集中治療センター。小児集中治療機能に特化した診療ユニットで、安全で質の高い小児集中治療・救急救命医療を提供するもので、厚生労働省の小児救急救命センター事業に指定された施設としては、全国で8番目、国立大学附属病院としては2番目となる。