単層CNTと銅の複合材料の微細配線に成功
―高機能・信頼性で電子デバイスなど配線材料に道
:産業技術総合研究所/新エネルギー・産業技術総合開発機構/単層CNT融合新材料研究開発機構

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微細加工した単層カーボンナノチューブと銅の複合材料(提供:産業技術総合研究所)

 (独)産業技術総合研究所は1月23日、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と(技術研究組合)単層カーボンナノチューブ融合新材料研究開発機構(TASC)と共同で、単層カーボンナノチューブ(CNT)と銅の複合材料を使った微細配線を基板上に作製する技術を開発したと発表した。単層CNTと銅の複合材料は熱による断線が起こりにくく、銅の100倍の電流を流せるので、信頼性に優れた車載用電子部品や微小センサーなどへの応用が期待される。

 

■量産製造プロセス開発進める

 

 産総研とTASCは、NEDOからの委託事業として平成22年度から5年計画で革新的CNT複合材料開発プロジェクトを進めており、産総研が開発したス-パーグロース法で昨年夏、銅の100倍の電流を流せる単層CNTと銅の複合材料開発に成功、さらに今回、その複合材料の微細配線作製方法を確立。単層CNTと銅複合材料を電子デバイスなどの配線材料として使える道を開いた。
 この微細配線加工では、まずシリコン基板上に単層CNT膜を合成し、その膜を剥がして配線基板に載せる際、膜をイソプロピルアルコールに漬けて乾燥することで膜の高密度化、基板への密着性を高めてからリソグラフィーで配線加工する。次いで銅イオンの有機系溶液と水溶液の順にメッキすれば、形状通りの単層CNTと銅の複合材料を使った配線加工ができる。加工は平坦な基板だけでなく、パターン形成された基板でも行える。
 CNTと銅の複合化により、新複合材料の熱膨張係数がシリコンと同程度になったので大電流による熱ひずみに対する信頼性も高まった。今後は、新材料の特性を活かせる用途を探し、デバイス開発に繋げるとともに単層CNT銅複合材料量産製造プロセス開発を進めることにしている。

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