(独)産業技術総合研究所は2月18日、(独)農業・食品産業技術総合研究機構と佐賀大学の研究者らと共同で、密度の違う微粒子混合物を簡便に分別できるマイクロ流体デバイスを開発したと発表した。デバイスの流路に流れる液体に比べて密度の大きい粒子と小さい粒子を分別する。医療や農産現場での細胞分離などへの応用が期待できるという。
■短時間で分別、低コスト
密度の異なる粒子の分別には遠心分離などがよく用いられるが、生体分子や細胞などの分別の場合には、大きな力が加わると変形したり細胞が損傷を受けて細胞内物質が漏出したりするといったことが起きるため、刺激の少ない分別法が求められている。
研究グループが今回開発したのは、流路を流れる過程で、密度の違うものは上下に分かれるという、極めて簡単な原理を利用したデバイス。密度をあらかじめ調整した液体に、分別する微粒子混合物を混ぜて流路に流すと、密度の小さいものが流路分岐点で上の流路へ進み、密度の大きいものは下の流路へと進んで、それぞれの出口で回収される仕組み。
外部から遠心力や超音波などを加えずにすみ、短時間で分別でき、細胞などへのストレスが少ない。また、分別物の回収に手間がかからず、流路構造が単純なので低コストですむ、などの特徴があるという。
研究グループは高品質の卵子や体外受精卵などの簡便な選別技術として有望とみており、今後、畜産現場で実証試験をし、3年以内にも実用化させたいとしている。