(独)農業・食品産業技術総合研究機構の農村工学研究所は2月28日、「ため池」が決壊した時の氾濫状況を予測する簡易な氾濫解析手法を開発したと発表した。
農業用のため池は、全国に約21万カ所もある。東日本大震災では、東北地方の数多くのため池が被災し、福島県では、ため池決壊により死者・行方不明者8人を出している。
こうしたことから農林水産省は、「ため池決壊時の簡易氾濫解析による被害範囲推定技術の開発」に着手、今回の氾濫解析手法はその予算で開発した。
国土地理院から提供を受けた5mメッシュの詳細な「数値標高データ」と呼ばれる地表面の地形のデジタルデータに、ため池の形状や堤などの諸元と、位置情報を組み合わせることで、ため池氾濫時の浸水域を予測するというもの。
現在、全国の約1万4千カ所のため池で、点検の強化や耐震化などのハード対策が進められており、併せてソフト対策の一つとして、決壊時の被害を予測し、その被害範囲を地図化した「ハザードマップ」の作成が求められている。
農研機構は、開発した氾濫解析手法がため池ハザードマップの作成に活用できるとし、「比較的容易に入手できるデータをもとに簡易で高精度なため池ハザードマップの作成が可能」といっている。
No.2014-8
2014年2月24日~2014年3月2日