策定したマレーシア向け「低炭素社会計画」を同国が承認
:国立環境研究所/京都大学/マレーシア工科大学ほか

 (独)国立環境研究所は3月31日、同研究所が京都大学、岡山大学、マレーシア工科大学などと共同でマレーシア向けに策定した低炭素社会実現に向けた実行計画が3月20日に、同国政府の承認委員会(AIC)で正式に承認されたと発表した。
 この実行計画は、正式名称を「マレーシア・イスカンダル開発地域における2025年に向けた低炭素社会ブループリント」といい、同開発地域の2025年の二酸化炭素(CO2)排出量を現状推移シナリオより40%削減するとしている。
 イスカンダル開発地域は、マレー半島の最南端に位置し、クアラルンプール地域に次ぐマレーシア第2の経済都市圏。人口は、約140万人。そのイスカンダル開発は、東京都の広さとほぼ同じ2,200km2余りの地域で進めている一大都市開発プロジェクトで、2006年にスタートした。電気・電子、油脂・石油化学、食品・農産物加工の3分野の産業を誘致する重点分野にあげ、累積で10兆円の投資を見込み、2012年末までの累積投資額は3兆円を超え順調に開発が進んでいる。
 同研究所は、「AIC承認によって、ようやく制度的な裏付けを得ることになる」と歓迎しており、「地域の社会・経済的活動の将来シナリオと、それに起因する温室効果ガス排出とその抑制方策を統合的かつ定量的な方法で解析して、低炭素社会実行計画を策定・実施するのは(これが)ASEAN(東南アジア諸国連合)初の取り組み」といっている。

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図

イスカンダル開発地域の温室効果ガス排出量。2025年のBaU(現状推移シナリオ)に比べてCM(対策導入シナリオ)は、旅客輸送や貨物輸送、家庭用、業務用部門などで大きな減少見込んでいる(影響:国立環境研究所)