(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は7月9日、オルガノ(株)、日本製粉(株)と共同で、皮膚の保湿成分のセラミドを、米ぬかから高純度で連続生産できる技術を開発したと発表した。現在、化粧品や機能性食品に使われている市販のセラミドの純度は5~10%程度だが、新技術では純度95%以上のものを工業生産できる。効能がより高いセラミド製品の開発などが期待できるという。
■「ステロール配糖体」の分離成功がカギ
セラミドは脂質の一種で皮膚の角質層に多く存在し、皮膚の潤いを保ったり、皮膚から雑菌の侵入を防いだりする役をしている。化粧品や機能性食品の原料になっているセラミドは、主に植物由来のもので、ステロール配糖体と呼ばれる夾雑物の分離が困難であることから、純度の低いものが使われている。
研究チームは今回、擬似移動層クロマトグラフィーと呼ばれる技術をステロール配糖体の分離に適用し、通常のクロマト分離技術では非連続的、非効率、非経済的にしか行えなかった分離を連続的に、工業的に行えるようにした。
米ぬか由来の純度10%の原液を処理し、95%以上の高純度セラミドを連続製造することに成功した。米ぬか以外の他の植物由来のセラミドにも適用できるという。また、セラミドには複数種の化合物があるが、その一つ一つを分離して取り出せるという。
今後はセラミドの機能や安全性などを的確に評価できることから、製品の効能を高めるほか医薬品開発への展開などが期待できるとしている。