(独)防災科学技術研究所は8月22日、広島市に8月20日の未明に土砂災害をもたらした集中豪雨の立体画像を公開した。それによると、積乱雲は最大で高さ15kmにも発達、同研究所は、この集中豪雨が「バックビルディングタイプの線状降水帯によりもたらされたと考えられる」としている。
同研究所の解析によると、8月19日の午後6時から翌20日の午前6時までの12時間に200mm以上の雨が降った領域は、広島市の南西から北東にかけての領域に集中し、長さ約23km、幅約5kmの線状に局地的な大雨が降ったことが分かった。レーダーによる雨量情報から、土砂災害が発生した広島市の安佐南区と安佐北区周辺での12時間の雨量は250mmを超えたと推定している。
公開された立体画像は、国土交通省の「XRAIN」と呼ばれるレーダーで観測されたレーダー反射因子の三次元分布を土砂災害が発生した地点の南東の上空から見た様子を示したもの。積乱雲が発達し、高さはおよそ15kmにまで達している。
20日午前1時30分ごろから同4時ごろにかけて、積乱雲が土砂災害を起こした地域の上空を連続的に通過。風上で積乱雲が次々と発生し、ビルディングが立ち並ぶような形となって風下に長時間の雨をもたらす「バックビルディング現象」による豪雨の様子が観測された。
国土交通省のXバンドMPレーダー「XRAIN」で観測されたレーダー反射因子の3次元分布。白(降雨強度換算で3mm/時)、青(同12mm/時)、黄(同49mm/時)、赤(同100mm/時)を示す。地図中の赤点は安佐南区、安佐北区を示す(提供:防災科学技術研究所)