アンモニアと灯油を混焼しガスタービン発電
―燃焼装置を試作し成功、水素エネルギー利用の拡大も
:産業技術総合研究所/東北大学(2014年9月18日発表)

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ガスタービンへの燃料供給と発電出力の変化(提供:産業技術総合研究所)

 (独)産業技術総合研究所は9月18日、東北大学と共同で灯油にアンモニアを30%混ぜた燃料でガスタービン発電に初めて成功したと発表した。アンモニアは次世代エネルギーとして注目される水素を扱いやすい液体にして貯蔵・運搬できる水素キャリアとして期待されており、再生可能エネルギーの大量導入に欠かせない水素の利用拡大に役立つと期待している。

 

■環境基準にも適合

 

 研究グループは、灯油とアンモニアを混合して燃やせる燃焼装置を試作、定格出力50kwのマイクロガスタービン発電装置を開発した。

 実験では、灯油の約30%相当のアンモニアを気体状にして液体状の灯油と同時に供給したところ、安定して燃焼。定格出力の約40%相当の21kwで発電できることが分かった。灯油のみを燃料とした場合とほぼ同じ出力だった。

 大気汚染で心配される窒素酸化物の排出量は、通常の脱硝装置を使うことで10ppm(ppmは100万分の1)未満に抑制でき、環境基準に十分適合していたという。

 アンモニアは窒素と水素の化合物で、加圧によって容易に液化し水素含有量も多い。貯蔵や運搬に高圧ボンベが必要な水素エネルギーの利用を拡大するための水素キャリアとして注目されている。しかし、一般の燃料より着火しにくく燃焼速度も遅いなどの問題があり、これまでアンモニアはガスタービン発電には利用されてこなかった。

 今回、発電用燃料としてアンモニアを利用する道が開けたことで、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出抑制にもつながると研究グループは期待している。

 今後、灯油に加えるアンモニアの比率を高めた灯油との混焼や、天然ガスとの混焼、アンモニアだけでの燃焼などの可能性について実証実験を進める。

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