（独）農業・食品産業技術総合研究機構（農研機構）の生物系特定産業技術研究支援センターは9月16日、カワサキ機工（株）と共同で、お茶の葉を摘み取る1～2週間前に行う被覆・除去作業の大幅な省力化を図ることができる装置を開発、実用化の見通しを得たと発表した。
日本茶の栽培では、収穫直前の1～2週間程度、お茶の木（茶樹）を遮光資材で被覆する栽培法が普及している。お茶の新芽を直射日光から遮ることで、うまみが増し、渋みの少ないお茶の葉が得られるからだ。
その遮光資材を茶樹に被覆する作業や除去する作業は、手作業で行われているが重労働なため機械化が強く求められている。
新開発の装置は、遮光資材の茶樹への被覆と除去の両方を行う機械で、被覆用の展開アタッチメントと、巻き取りながら除去する巻き取りアタッチメントで構成され、現用の乗用型の茶摘み機に装着して使用する。
この遮光資材の被覆・除去装置には、お茶の産地で一般的に使われている寒冷紗（かんれいしゃ）と呼ばれる布でできた幅が2.2m以下、長さが50mまでの遮光資材をそのままセットすることができる。
同機構によると、静岡県農林技術研究所茶業研究センターのお茶の圃場（ほじょう）で実施したこの被覆・除去装置の作業能率調査では、投下労働時間を展開作業で34～69％、巻き取り作業で44～78％それぞれ削減できたという。
現在、奈良県、京都府、静岡県で次のステップの実証試験を実施しているところで、同機構は「作業能率や取扱い性などの向上を図り、平成27年の市販開始を目指す」としている。
乗用型茶摘み機に装着した展開アタッチメント（写真右）で遮光資材を茶畑の茶の木に被覆する作業を行っている様子（提供：農研機構）
