小型スパコン「睡蓮」が消費電力性能世界2位
―1W 当たりの演算処理性能、国内ではトップ
:高エネルギー加速器研究機構/エクサスケーラーほか(2014年11月21日発表)

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)は11月21日、(株)ExaScaler(エクサスケーラー)と(株)PEZY Computing(ペジーコンピューティング)と3者で開発・検証中の小型スーパーコンピュータ(スパコン)「Suiren(睡蓮)」が米国ニュー・オーリンズで開催中のコンピュータの性能等に関する国際学会「SC14」で発表された世界のスパコン消費電力性能ランキングで第2位、日本ではトップを獲得したと発表した。

 

■設置面積が6.3m2のコンパクト設計

 

 「睡蓮」はKEKの計算科学センターで、この11月1日から稼働している国産の小型スパコンで、ペジーコンピューティング社製のコアになるプロセッサー1024個とエクサスケーラー社開発の新冷却システムを用いているので、設置面積が6.3m2と、非常にコンパクトなスパコンである。今回の「SC14」で発表された世界のスパコン演算性能ランキング「トップ500」での「睡蓮」の順位は、178.1TFlops(テラフロップス=コンピュータの演算性能を示す単位で、実数の足し算、掛け算が1秒間に178兆1000万回できることを示す)で369位だった。

 しかし、「トップ500」のような演算処理性能の絶対値ではなく、消費電力1W(ワット)当たりの演算処理性能でランク付けした「グリーン500」では「睡蓮」は4946MFlops(メガフロップス=テラフロップス同様、実数の足し算、掛け算が1秒間に49億4600万回できることを示す)。この値は今回の「グリーン500」で世界1位となった独GSIヘルムホルツセンターのスパコン「L-CSC」に次ぐ世界第2位で、日本国内ランクではトップをマークした。

 KEK計算センターでは、今後も消費電力性能の改善を続け、素粒子、宇宙、天文などのシミュレーションで実効性能、低消費電力性能など含めた検証を進め、今年12月からの本格的稼働開始を目指している。

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図

左は、「Suiren(睡蓮)」システムの室内部、右は、液浸冷却用PEZY-SCモジュール(提供:高エネルギー加速器研究機構)