高エネルギー加速器研究機構(KEK)は11月21日、欧州合同原子核研究機関(CERN)と互いの施設内にそれぞれ分室を設置することで合意し、同日KEKの鈴木厚人機構長とCERNの所長代理が文書に署名して両分室が発足したと発表した。
CERNは、スイスのジュネーブ市郊外、フランスとの国境近くにある世界最大規模の素粒子物理学の研究所。
KEKのCERNへの協力は、CERNの世界最大の衝突型円型加速器「大型ハドロン衝突型加速器(LHC)」への日本の参加が始まった1994年からで、現在両機関は次世代の加速器として国際協力で設計が進められている「国際リニアコライダー(ILC)」で協力し合うなど共同研究の領域を広げている。
今後もさらにCERNの周長80~100kmに達する大型円形加速器の実現可能性調査へのKEKの参加などが新たに予定されている。
こうしたことから、共同研究などのため、つくば市(茨城)とジュネーブ市郊外の両機関の研究施設に滞在する互いの研究者に対し便宜を図るとともに、研究支援をより円滑に行えるようにしようとそれぞれの分室設置となったもの。発足したKEKのCERN分室長には、KEK素粒子原子核研究所副所長の徳宿克夫教授が就任した。