衛星によるCO2観測、大都市で高い排出濃度
―「いぶき」での温室効果ガス監視利用に見通し
:国立環境研究所/環境省/宇宙航空研究開発機構(2014年12月5日発表)

 (独)国立環境研究所と環境省、(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月5日、世界初の温室効果ガス専用の観測衛星「いぶき」のデータから世界の大都市地域での二酸化炭素(CO2)濃度を推定したと発表した。大都市地域がその周辺部よりも高い濃度を示す傾向があることがわかり、推定結果が化石燃料消費など人間活動に基づくCO2濃度の上昇をとらえた可能性が高いとみている。

 

■米・ロス、中国・天津、ハルビンなど高く

 

 いぶきは2009年1月の打ち上げ以降、地球温暖化に大きな影響を与えるCO2やメタンの濃度の観測を宇宙から続けている。

 今回、人間活動によると推定されたCO2の濃度が最も高かったのは米国ロサンゼルスで4.5ppm(ppmは100万分の1)。次いで中国の天津やハルビン、鞍山など北京周辺の大都市地域で3.8ppm、さらに中央アジアのウズベキスタン東部やカザフスタン南端などが2.6ppmだった。

 推定では、はじめに衛星から見た夜間の地表の明るさと火力発電所のデータベースから化石燃料消費によるCO2排出量を試算。その結果に地球大気の流れを数値化した大気輸送モデルの計算結果を加味して、人間活動によるCO2濃度の地域分布を割り出した。さらにこの数値をいぶきの観測結果と比較して、いぶきがどこまで人間活動によって排出されたCO2の濃度分布をとらえたかを推定した。

 今回の結果について、研究グループは衛星による観測が温室効果ガス排出の監視手段として利用できるとの見通しが得られたとみている。

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