本法と従来法との診断結果の比較。この方法を用いることで感染樹の診断を高感度に行うことができた(提供:(独)農業・食品産業技術総合研究機構)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所は12月3日、カンキツ類の重要病害「カンキツグリーニング病」を迅速・簡便・低コストで検出する方法を開発したと発表した。
カンキツグリーニング病は、世界中のカンキツ栽培地で猛威をふるっている難防除病害。わが国では、奄美群島(鹿児島)以南の南西諸島で発生しており、感染を検出する手段としては対象樹からDNA(デオキシリボ核酸)を抽出して調べるPCR法という方法が使われている。しかし、この方法は、DNAを抽出し精製するのに時間と労力とコストがかかり、根絶・蔓延阻止のためにより簡便な検出法が求められている。
開発した方法は、「ダイレクトPCR法」というもので、DNAの抽出は不要。病原細菌に特有の遺伝子配列を探索し、その配列を基に高感度・高精度に検知できる新しい合成DNA断片を開発して実現したもので、作業時間を従来法の2分に1から3分の1に短縮できる。
この方法は、他の植物病害の検定法としても利用できる可能性があり、「今後さらに改良を重ね、様々な病害についても有効な方法であることを検証していく予定」と同機構はいっている。