(独)農業・食品産業技術総合研究機構の野菜茶業研究所は12月2日、ピーマンなどの接ぎ木栽培用の台木(だいぎ)「L4台パワー」と「台ちから」の2品種を開発したと発表した。
ピーマンやトウガラシの栽培では、株のしおれ(萎凋)を引き起こす土壌伝染性病害の青枯病や疫病が発生する。その回避策として採られているのが、スイカ、キュウリ、トマトをはじめとする果菜類の栽培に広く採り入れられている接ぎ木栽培。接ぎ木では、接合する上の部分を「穂木(ほぎ)」、下の部分を「台木」といい、今回農研機構が開発したのは、台木用のトウガラシ新品種。
「L4台パワー」は、カラーピーマン(パプリカ)向けの台木で、葉にモザイク症状などを引き起こすトバモウイルスへの抵抗性遺伝子「L4」を持つ初めての台木用品種。「台ちから」は抵抗性遺伝子を持たない、辛味のない甘長(あまなが)トウガラシ向けの台木。
両品種はともに、青枯病、疫病に対して強い抵抗性を持ち、これら2種を台木にした接ぎ木栽培で、既存の台木を使った場合とほぼ同量の収穫を確認、青枯病などの発生している地域での接ぎ木栽培による安定生産が見込まれるという。
「L4台パワー」、「台ちから」ともに種苗会社などから種子が販売される予定で、それまでは、野菜茶業研究所が「原種苗提供契約」を結んだうえ、種子の提供を有償で行う。同提供契約についての問い合わせは、野菜茶業研の企画管理部(TEL050-3533-3810)へ。