E-ディフェンス使い地盤・杭基礎の振動台実験
―傾斜計、沈下計などモニタリングシステムを検証
:防災科学技術研究所/京都大学/大成建設(2015年9月18日発表)

 (国)防災科学技術研究所と京都大学、大成建設(株)は9月18日、三木市(兵庫)にある同研究所の世界最大規模の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を使って地盤・杭基礎の振動台実験を行うと発表した。実験によりセンサーなどを配置したモニタリング技術を検証する。

 

■800を超えるセンサーでデータを取得

 

 大地震が発生した後、建物機能の維持・回復のために必要不可欠なのが、地盤や基礎構造、ライフラインなどの健全性判断。しかし、これらは地中に隠れているのでその健全性を把握するには多くの時間と費用を要する。

 そこで、同研究所と京大、大成建設は、他の企業5社と共同で文部科学省から受託した「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」の一環として、地盤・基礎構造・ライフラインの健全性を即時に判断できるようにするモニタリングシステムの研究開発を行っている。

 今回の振動台実験は、開発した地盤・基礎構造・ライフラインのモニタリングシステムで得た健全性の判定結果と、振動による実際の損傷状況とを照らし合わせて同モニタリングシステムの実用性を実証しようと実施するもの。

 実験は、直径8m、高さ6.5mの「大型せん断土槽」内に設けた砂地盤の中に長さ6m弱、直径約15cmの2種類の杭模型(鉄筋コンクリート杭と鋼管杭の模型)を計15本設置し、その杭模型を貫入した大型せん断土槽をE-ディフェンスの振動台上にセットして行う。実験は、1日目が試験体の振動特性をみる程度で加振を行い、2日目に主に中地震相当の揺れを繰り返し、大地震相当を1回行う。3日目は地中部の鉄筋コンクリート杭損傷を目標に加振する。この2日目、3日目の10月20日と21日は公開で行う。

 実験では、加速度計、変位計、ひずみゲージなど合計で800を超えるセンサーを各部に取り付けて杭模型と地盤の加振時の詳細な動的データの取得を行い、加振で生じた鉄筋コンクリート杭模型の損傷度合いをモニタリングシステムで評価して同システムの妥当性を検証するとしている。

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モニタリングシステムの概要(提供:防災科学技術研究所)