(国)農業・食品産業技術総合研究機構と(株)栗本鐵工所は9月14日、農業用の配管などに使われる強化プラスチック複合管(FRPM管)の継手(つぎて)の離脱を防止する離脱防止継手と離脱防止部材を共同開発したと発表した。離脱防止継手は新設のFRPM管を、離脱防止部材は既設のFRPM管を対象にしている。継手部で従来のものよりも伸縮と曲げの性能をもち、従来の継手構造と比べると、防止継手は10倍超、防止部材は8倍以上の離脱荷重になり、大地震に強い管路構築ができるという。
■施工は容易で既設管でも開削工事不要
FRPM管は、接合部を外側から覆うリング状の継手の働きで通常は外れることはない。だが東日本大震災で液状化した地盤や、管路が複雑に曲がった場所などで離脱が見つかっている。
新設管向けの離脱防止継手は、200~2200mmの太さの管が対象で、FRPM管の受口部に設置する。管と継手の隙間部分の止水ゴムに同硬度で同材質の離脱防止用ゴムを取り付け、管の挿口部の先端に突起を作った。地震で力が加わると突起がストッパーになる。伸縮性を保ったまま継手の離脱防止できる。防止継手を取り付けた管は、従来の管と同じく挿口部を受口部に挿入するだけで接合ができる。
離脱防止部材は、太さ800mm以上の既設のFRPM管が対象。防止部材は挿口管の端に設置する。止水ゴムと同程度の硬さで同材質のゴムでできており、接合部が抜け出そうとすると、防止部材が接合部の止水ゴムに引っ掛かり離脱を防ぐ。この部材設置は管路の内部から設置でき、開削工事を行わずに短期間で施工が可能という。
新開発の離脱防止継手と離脱防止部材は、栗本鐵工所が受注生産で販売する。

上は、新設FRPM管の離脱防止継手の仕組み。下は、既設の管の離脱防止部材の仕組み。ともに断面図(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)