2つの台風の影響で線状降水帯が次々と通過
―9月の関東・東北豪雨、湿った空気の流入など発生条件そろう
:気象研究所(2015年9月18日発表)

 気象庁気象研究所は9月18日、関東地方や東北地方を襲った9月9日から11日にかけての豪雨について、2つの台風からの暖かく湿った空気が断続的に流入したことで多数の線状降水帯が発生し、降水が集中したことよると発表した。台風18号とその台風から変わった温帯低気圧や台風17号周辺からの湿った大気の流れ、気圧の谷の影響で、次々と線状降水帯が発生、関東南部から北部にかけては13もの線状降水帯が観測された。

 

■関東では13の線状降水帯を観測

 

 線状降水帯の発生しやすい条件、下層の湿った空気の流入に対し、上空に行くにしたがって風が時計回りに向きを変え、さらに上空の風が強くて湿っていること。9日から10日にかけて関東地方では、大気下層に台風18号と台風から変わった温帯低気圧に向かう南東風と、台風17号周辺からの南東風によって大量に水蒸気を持った空気が流入し続けた。上空では気圧の谷が南下、東日本上空では秒速25mを超す強い南風が吹き、上昇気流が上空を湿らせて線状降水帯が発生しやすい状況にあった。

 こうした大気状況により、台風18号の東側に南北に伸びた幅100~200kmの降雨域が広がり、その中に線状降雨帯が次々と発生した。関東南部で複数発生した線状降雨帯は、発達しながら北に移動、9日午後3時~10日午前4時の間に13を数えた。それぞれの線状降水帯は、南北の方向に幅20~30km、長さ約50~100kmに及び、それぞれが50mm以上の降水をもたらす大雨となった。平成26年8月20日の広島市で起きた豪雨は、1つの線状降水帯により引き起こされたが、今回、今市市(栃木)では、8つの線状降水帯が次々と通過したため12時間以上大雨が続き、24時間降水量は500mmを超えた。

 また、10日~11日の東北地方では、台風17号周辺からの湿った空気が太平洋側に流れ込み、線状降水帯が発生しやすい状態となっていた。線状降水帯の発生していた時間は4時間程度だったが、複数の線状降水帯が大雨をもたらした。

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