(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(株)は9月18日、H-ⅡAロケット初の海外商業衛星打ち上げとして、11月24日にJAXAの種子島宇宙センター(鹿児島・南種子町)からカナダのテレサット社の通信放送衛星「テルスター12V(VANTAGE)」をH-ⅡAロケット29号機で打ち上げると発表した。
■2段目を高度化し3回のロケット燃焼で軌道近くに
この29号機はJAXAが進めている基幹ロケット高度化の開発成果をロケット2段目に適用して、衛星をより静止軌道近い軌道に投入し、静止軌道に入りやすくした。第2弾エンジンは、打ち上げ後約6分54秒後に第1回目の燃焼を開始、同11分7秒後に燃焼を停止し、同22分46秒後に第2回目の燃焼を行う。燃焼停止後さらに同約4時間22分45秒後に3回目の燃焼を行い静止軌道に近づける。このような軌道入り高度化仕様ロケットの打ち上げは今回が初めて。
テレサット社は世界の大手衛星運用会社の一つで、今回打ち上げる「テルスター12V」は同社が運用する通信放送衛星「テルスター12」の後継機で、重さ約4.9t。52台のトランスポンダ-を搭載しており、製作はフランスのメ-カ-。今回、打ち上げに成功すれば、最終的には赤道の西経15度付近上空に”静止”して、南アメリカから大西洋、欧州、中東、アフリカに及ぶ広範なサービスエリアをカバ-する。
「テルスター12V」の打ち上げ予定時間は日本標準時間11月24日午後3時23分から同午後5時7分までだが、天候などの理由で、この時間内に打ち上げられなかった場合の予備期間は、翌日から今年12月31日までとなっている。