超音速試験機の飛行試験結果を文科省・委員会に報告
:宇宙航空研究開発機構(2015年12月24日発表)

 (国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月24日、スウェーデンで2015年7月に行った超音速試験機の飛行試験で得られた試験結果を、同日開催の文部科学省・航空科学技術委員に報告したと発表した。

 この飛行試験は、JAXAが進める「低ソニックブーム設計概念実証(D‐SEND)プロジェクト」の第2フェーズ試験「D‐SEND#2試験」としてスウェーデン宇宙公社のエスレンジ宇宙センター内で7月24日に実施された。

 報告によると、ソニックブーム低減化技術を組み込んで作製したエンジン無しの全長7.9m、主翼幅3.5m、重量1tのアルミニウム合金製の無人・無動力超音速滑空機を気球で高さ3万500mまで上げて分離、177秒後に25km離れた「ソニックブーム計測システム(BMS)」上空8200mのところをマッハ1.39の速度で通過した。

 計測は3カ所のBMS設置場所と、それぞれのサイト上空1000mに上げた係留気球と地上間の50、500、650、750mの高度別に計測装置を設置して行われた。屋外160個、屋内36個の計196個のソニックブーム波形の計測に成功したという。目標とした計測地点では、地上と高度の異なる4カ所すべてで計測。また、目標から離れた地点の2カ所でも地上と4カ所の高度別での計測に成功した。

 こうした計測から、「計測ブームの低ブーム性(低減効果)を確認」(同報告)したとしており、「低ソニックブーム設計概念」の実証に世界で初めて成功したと報告している。

 航空機が音速(時速1,225km)を超えると発生する衝撃音がソニックブーム。時には地上の家屋の窓ガラスが割れるほどの音になり、次世代の超音速旅客機ではソニックブームの低減が不可欠とされている。

 JAXAは、この飛行試験の成果をふまえて「D‐SENDプロジェクト」終了に向けた審査を今年度内に実施する予定といっている。

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