(国)産業技術総合研究所は1月25日、印刷技術で簡便に作製できるフィルム状の人感センサーを島根県産業技術センターと共同で開発したと発表した。人の目に触れないところに設置し、人の動きや呼吸を非接触で検知できる。今後、 感度を高め心拍や脈拍なども測れるようにし、自宅での介護・見守り向けセンサーとして商品化したいとしている。
■印刷技術での作製を開発
新センサーは薄いフィルムの両面にサイズの異なるアンテナ(電極)を印刷し、人が近づくと電極間の静電容量が変化するのをとらえて、人や体の動きを検知する仕組み。
産総研が独自開発したスクリーンオフセット印刷法を用いて導電インクを印刷し、一度の焼成でフィルムの両面に電極パターンを形成することに成功。薄くて軽く、柔軟性があり、低コストで大面積での設置ができる。
人の接近を検出する新センサーは、静止した人の胸部の動きもとらえることができ、それによって呼吸の様子を検知できる。畳ベッドの裏側にセンサーを張り付け、その上に被験者を横たわらせてセンサーシグナルの変化を測定したところ、呼吸の周期に合せてシグナルの変化が的確にとらえられたという。
新センサーは壁や床、ベッドに貼るだけで簡単に利用でき、しかも裏側に設置することで人目に触れることなく、自然な状態で利用者に精神的・肉体的負担をかけることなく、その人の動きや呼吸を検出できるのが特徴。
今後性能や利便性などを高め、家庭内で使用できる介護・見守り用システムの構築につなげたいとしている。
(a)は、フィルム状のセンサー、(b)は、 畳ベッドの畳裏に貼った様子(提供:(国)産業技術総合研究所)