日本の降雪量の多寡の解析結果を公表
―ラニーニャ現象再来すると豪雪の恐れ
:筑波大学(2016年1月28日発表)

 筑波大学生命環境系の植田宏昭教授は1月28日、近年における日本の降雪量の多寡に関する研究成果をまとめ発表した。2015~2016年にかけての冬はエルニーニョ現象が発達するが、来冬以降ラニーニャ現象が起きると日本海側は多雪(豪雪)に見舞われる恐れがあると予測している。日本の降雪量の多寡についてはこれまで、北極と中緯度地域の気圧が高低逆の傾向で変動する、いわゆる「北極振動」との関係が指摘されてきたが、必ずしも相関は大きくないことから、さらなる解明が期待されている。

 

■「北極振動」との相関、必ずしも大きくない

 

 植田教授らは日本海側の気象観測データなどを基に、どのような大気の流れの時に多雪・少雪になるのかを調査・解析した。

 それによると、1979年から2012年の冬期(12~2月)において、日本海側で多雪が観測された年は、中国北東部から日本にかけて低気圧性の循環の強化と低温偏差が顕著になっていた。その要因としては、地球の自転に伴って生じる「ロスビー波」と呼ばれる波動の北東方向への伝播が考えられるという。

 その際の西太平洋の海水温変動はラニーニャ現象と関係しているが、2006年、2011年、2012年は日本海側から北海道にかけ豪雪に見舞われた。これらの年はいずれもラニーニャ年に当たっており、解析結果などとも整合している。

 ラニーニャ年には日本は猛暑に見舞われる。熱源応答実験の結果から、同じラニーニャ年でも、熱帯からの影響が冬と夏で異なることにより、結果として、日本付近は寒冬・多雪になる可能性が高いという。

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