(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月28日、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の観測データを基に25m分解能の全域の森林マップ(URL: http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/palsar_fnf/fnf_jindex.htm)を開発、同日から無償で公開したと発表した。
2015年にパリで開催されたCPO21(気候変動枠組み条約第21回締結国会議)で掲げられた温暖化抑制の目標達成のためには、二酸化炭素(CO2)の吸収源として重要な森林を地球規模で把握する必要がある。近年、熱帯・亜熱帯域で森林の減少が進んでいる。森林面積の把握・保全は重要取り組みと位置付けられている。
「だいち2号」に搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)は、高い感度と分解能をもち、約24cmという長い波長の電波を使って森林(自然林)の有無や土地利用状況などの観測ができる。さらに、天候や昼夜にかかわらず観測ができることから、1年の多くが雲で覆われる熱帯域でも森林の状況を把握することが可能だ。
JAXAでは、「だいち2号」による全地球の森林マップを年1回の頻度で提供する予定だ。これにより森林減少・増大などの傾向を把握することができ、各国の関係機関による森林保全計画に利用することが考えられるとしている。
JAXAでは、(独)国際協力機構(JICA)と協力して2016年度から「森林変化検出マップ」を構築、全世界に熱帯林の高頻度変化情報を発信することにしている。今回の全球森林マップのデータは、森林変化検出マップの基本情報としても使用されるという。