遺伝子組み換えカイコ育成でクワコとの交雑なし
:農業生物資源研究所(2016年1月28日発表)

 (独)農業生物資源研究所は1月28日、遺伝子組み換えカイコ(緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ)について平成27年に行った3回の飼育実験で、モニタリング調査の結果、カイコと、自然界のクワの木の葉に自生するする近縁の「クワコ」との交雑個体は見つからなかったと発表した。

 

 同研究所は、つくば市内の同研究所隔離飼育区画で平成27年5月12日からと同7月14日から、9月4日からの3回にわたって遺伝子組み換えカイコの飼育を行った。飼育に際しては、3回とも飼育室の開閉可能な窓やシャッター、換気口に網を張るなどの交雑防止措置を行い、クワコの侵入を防ぐ措置をとった。

 

 また、隔離飼育区画の四隅には、モニタリング用トラップとして性フェロモン(ボンビコール)を誘引源とするフェロモントラップを設置して、クワコのオスの成虫を捕獲して交雑を調べた。

 

 その結果、平成27年12月18日までにクワコのオスの成虫186匹を捕獲。捕獲したオスのクワコの成虫のうち、複眼で赤色蛍光を発現していた個体はなかった。また、遺伝子検査などで調べたところ、緑色蛍光タンパク質遺伝子などの検出はされず、「交雑は認められなかった」という。

 

 さらに、収穫した繭(まゆ)は、熱乾燥により不活化した。飼育後のクワの枝などは、隔離飼育区画内の残渣保管場所で30日後まで管理し、平成28年6月15日まで隔離飼育区画内の残渣保管用の穴に保管して不活化する。

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