海底から上昇するメタンハイドレートの気泡を発見、撮影に成功
:東京大学/海洋研究開発機構ほか

 東京大学、(独)海洋研究開発機構、東京家政学院大学、(独)産業技術総合研究所は3月2日、海底から噴き出したメタンガスが直ちにメタンハイドレート(メタンと水からできた氷状固体物質)になって海中を上昇し、最後に浅い所で分解する様子を世界で初めてビデオ撮影することに成功したと発表した。
 海底から噴き出したメタンガスは、海水に溶けて炭酸となるほか、海中の微生物によっても消費されるので表層にまで達するのは稀(まれ)とこれまでは言われていた。今回の成果は、その“定説”を覆すもので、日本海の冷たい海水(0.5℃未満)中で発見した。このような低温下では、メタンの気泡がメタンハイドレートに覆われるため、海水に溶け出すことなく浅海にまで達するのではないかという。
 研究チームは、新潟県上越市沖で海底から600mの高さにまでメタンガスの気泡を噴き上げている噴出孔を無人探査機による探査で見つけ、詳しく調査した。その結果、海底から噴出したメタンの気泡は、噴出口から僅か数十cm上昇する内にメタンハイドレートの皮膜に覆われたり、球状のメタンハイドレートに変わることが判明した。
 メタンハイドレートは、石油や天然ガスに変わる新エネルギーとして注目されている。上越沖の海底下百数十mの堆積物中には、大量のメタンハイドレートが眠っていると推定され、今回の成果はその資源探査にも活用できるのではと期待されている。

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海底から立ち昇るメタンハイドレートの小さな気泡をマジックハンドで採取しているところ(提供:東京大学、海洋研究開発機構)