近未来の地球温暖化をコンピューターシミュレーションで予測
:国立環境研究所

 (独)国立環境研究所は7月2日、コンピューターシミュレーションモデルを用いて、2030年までの近未来地球温暖化予測を行った結果、1951~1970年の期間に比べて、2011~2030年の期間では、暑い昼·夜の増加と寒い昼·夜の減少が予測されたと発表した。
 地球温暖化については、世界中で多くの将来予測研究が行われている。これまで多くの研究は、2100年頃までの変化に注目してきたが、現在でも温暖化の影響とみられる気象が頻発しているため、今後20~30年(近未来)の間に温暖化の影響がどの程度顕在化してくるかに関心が集ってきている。
 研究チームは、1951年から1970年を基準期間とし、スーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使って地球全体の大気·海洋などの振る舞いを計算し、2011年から2030年の期間に極端な高温·低温の発生頻度がどのように変化するかに注目して解析を行った。
 その結果、東京を含む300km四方では、1981~2000年では年平均約5日だった暑い夜(最低気温が27℃以上)が2011~2030年では約3倍の頻度で発生するなど、暑い昼·夜の増加と寒い昼·夜の減少が予測され、世界の各地でも同じ傾向がみられた。
 この予測から温暖化の影響は、気候システムの自然の揺らぎ(大気や海洋·土壌などが複雑に関係することによる地球の気候の自然な変動)よりも大きいことから、遠い将来だけの問題ではなく、近未来においても世界各地で影響が顕在化する可能性がかなり高いことを示唆している。このような近未来の温暖化予測の解析は、世界で初めて行われた。

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