形状記憶合金薄膜アクチュエーターの新製法を開発
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は7月4日、形状記憶合金薄膜アクチュエーターを簡単に作製する新製法を開発したと発表した。新製法は、300℃程度に加熱した基板にチタン·ニッケル·銅合金薄膜をスパッタ蒸着するだけで、可逆的なアクチュエーター(駆動源)が簡単に製作出来る。銅を加えたことで結晶化温度が下がり、比較的低温で結晶性薄膜が得られるようになった。
 形状記憶合金薄膜アクチュエーターは、ミクロン(1ミクロンは1000分の1mm)単位の細胞を掴むマニュピュレーター、微細な神経や血管を挟むグリッパ、能動型内視鏡やカテーテルを動かすマイクロアクチュエーターなどへの応用開発が進んでいる。しかし、従来の製法では、スパッタリングでアモルファス膜を作成後、高真空中で500℃以上の結晶化処理が必要だったため、基板はシリコンウエハーなどに限られていた。
 成膜後の熱処理不要の新製法は、色々な基板上に薄膜を作れるので、ポリミドフイルムや家庭用アルミ箔などでも形状記憶合金薄膜作りが可能になり、従来のシリコン基板による平面的な使用ばかりでなく、立体的配置が可能になる。何よりも、薄膜を基板に蒸着してハサミで切り抜き、両端に電池をつなげば簡単にアクチュエーターになるので、用途拡大と製造コスト削減が期待される。

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新製法で作った形状記憶合金薄膜アクチュエーターの一例(提供:物質・材料研究機構)