自ら光る蛍光タンパク質を開発:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は7月6日、外部照射光なしで自ら光る蛍光タンパク質と、それを利用した新しい生物発光イメージング技術を開発したと発表した。
 産総研では、発光生物が本来備えている「ルシフェリン」という物質(発光基質)をエネルギー源として、緑色蛍光タンパク質(GFP)を光らせる「生物発光共鳴エネルギー移動」という現象に注目し、この現象を応用して簡便にGFPを光らせる技術と、それを用いた生物発光イメージング技術の開発を試みた。
 これまでGFPの応用には、蛍光を光らせるために外部光源を必要としていた。一方、ホタルなどの発光生物は、「ルシフェラーゼ」という酵素の働きでルシフェリンを酸化して自ら発光する。今回、GFPとルシフェラーゼを結合させ、ルシフェリンさえあれば外部からの照射光なしで自ら光る人工タンパク質(自己励起蛍光タンパク質:BAF)を開発することに成功した。
 作製したBAFは、3種類(BAF-A、BAF-G、BAF-Y)で、種類ごとにその特性を反映した発光スペクトルになる。また、BAFの発光強度は、ルシフェエラーゼ本来の強度に比べて約4倍も明るくなっている。
 培養細胞で発現させたBAF-Yは、生きた細胞の中でも高い効率で発光した。細胞核のDNA(デオキシリボ核酸)に集積するタンパク質にBAF-Yを融合した細胞を、新しく開発した生物発光顕微鏡で観察した結果、高い解像度で1細胞レベルでの生物発光イメージングに世界で初めて成功した。

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