(独)産業技術総合研究所は4日、窒素酸化物(NOx)を検知する電極表面の微細構造を最適化し、応答速度が従来の5倍、感度も2倍のNOxセンサーを開発したと発表した。
従来のNOxセンサーは、エンジン排ガス中など過酷な環境での耐久性・耐熱性に問題があり、その解決策として生まれたセラミックスセンサーは構造が複雑で高速応答が難しかった。
作製したNOxセンサーは、1cm×2.5mm×300nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の大きさで、ジルコニアセラミックスなどを酸化ケイ素基板上に形成してセンサー構造にした。300℃以下の低い温度でも高い検出能力と応答速度を示す。
自動車の燃費向上による二酸化炭素(CO2)の排出低減という社会的要請に応えるため、ガソリンエンジン車では希薄燃焼(リーンバーン)技術の開発が精力的に行われているが、リーンバーン化すると、CO2は低減するもののNOxの排出量は逆に増加する。また、ディーゼルエンジン車では、NOxの排出量を抑制すると粒子状物質(PM)の発生量が増えるという問題を抱えている。
このため、検知速度が高速で検出感度や定量性が高い車載用の小型高性能のNOxセンサーの開発が強く求められている。
同研究所では、検出感度と応答速度をさらに上げるセル構造の開発を行うとともに、耐久性や共存ガスの影響などを評価して実用化の検討を進める予定という。
No.2007-26
2007年7月2日~2007年7月8日