(独)農業環境技術研究所は9月21日、空中の特定の植物の花粉を区別して計測できる「自動花粉モニター」を開発したと発表した。
遺伝子組み換え農作物の花粉が飛散することによる一般農作物との交雑を防ぐためには、空気中の花粉をウオッチすることが必要になる。しかし、現在は、空気中から採取した花粉を顕微鏡にかけて目視計測している状態で、多くの労力と時間を要することから研究推進の制限要因になっている。
新開発のモニターは、レーザーを使って実現した。レーザー光線を花粉に照射し、花粉の粒子から発生する散乱光の2方向の強度と発生時刻を記録するというもので、吸引口から採りこんだ空気を心臓部のレーザー光学計測系に導き、中に含まれる微粒子の光学特性を計測する方式。
レーザー光の中を花粉などの微粒子が通過すると、微粒子は周囲に散乱光を発する。その際に前方に発生する散乱光(前方散乱)と、側方に発生する散乱光(側方散乱)の強度を2つの方向に設けた検出器(受光素子)で検出するのがポイント。空気中には、花粉以外にも様々な微粒子が含まれるが、花粉だけが持つ前方散乱の強度と側方散乱の強度の組み合わせによって花粉のみを効率的に識別できる。
同研究所は、今後さらに研究を進め、複数種類の花粉を識別し計数できる装置の開発を目指すとしている。
No.2007-37
2007年9月17日~2007年9月23日