アジアの2020年迄の大気汚染物質排出量変化を世界で初めて算定
:国立環境研究所/海洋研究開発機構/九州大学/総合地球環境学研究所

 (独)国立環境研究所は10月10日、(独)海洋研究開発機構、九州大学、総合地球環境学研究所と共同して、アジア地域における多種類の大気汚染物質の排出量を算定し、1980年から2020年迄の変化を世界で初めて明らかにしたと発表した。
 アジア地域での経済成長に伴って、工場などからの大気汚染物質の排出量が急増している。しかし、大気汚染物質がアジア地域、特に中国でどれだけ排出されてきたのか、今後どのように変化するのかについては、定量的には明らかにされていなかった。
 今回共同研究グループは、アジア地域(アフガニスタン以東24ヵ国)を対象に、大気汚染物質の排出量を、1980~2020年について発生源種類別、燃料種類別、地域別に計算した。
 その結果、2000年のアジア全体における窒素酸化物(NOx)排出量は、年間2,730万tで、中国(65%)、インド(17%)の排出量が非常に多かった。
 また、1980~2003年の地域別排出量の経年変化では、アジア全体の燃料消費量がこの四半世紀で2.3倍に増加したことに伴い、NOx排出量も2.8倍に増加している。中でも、中国における増加は、約4倍(平均年率6%)と非常に大きく、特に2000年以降は過去最高になっている(3年間で1.3倍)。
 さらに、将来の排出シナリオを設定し2010年と2020年の将来排出量を予測したところ、アジアのNOx排出量は、2020年頃まで増加する可能性のあることが明らかになった。
 この研究成果は、8月23日に欧州地球科学連合の大気化学物理誌「Atmospheric Chemistry and Physics」に掲載された。

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