大気中の酸素濃度減少量から海や森林などのCO2吸収量の推定に成功
:国立環境研究所

  (独)国立環境研究所は1月23日、沖縄県波照間島と北海道落石岬で1999年から2005年までの6年間採取した大気中の酸素濃度の観測結果から、グローバルなCO2(二酸化炭素)の収支推定を行った結果、大気中に放出された石油などの化石燃料に起因するCO2の30%が海洋に、14%が森林などの陸域生物圏に吸収されていることが判明したと発表した。この研究は、「地球温暖化研究プログラム」の一環として行われた。
 同研究所は、酸素濃度の精密測定法を独自に開発、石垣島の南にある波照間島と北海道の根室半島の根元に近い落石岬(太平洋岸)で大気試料の定期的な採取を行った。試料は、つくば市の同研究所に送られ、酸素濃度とCO2濃度が測定された。その結果、大気中のCO2濃度は冬に高く夏に低い季節変動を示しながら年々増加しているのに、酸素濃度は冬に低く夏に高い季節変動を示しつつ年々減少していることが明らかとなった。
 2つの観測地点での6年間にわたる観測での酸素濃度減少量の年間平均は、4.0ppm(1ppmは100万分の1)だった。化石燃料の燃焼時には、排出されるCO2の約1.4倍の酸素が消費され、森林などがCO2を吸収する場合は約1.1倍の酸素が放出されることから、これらの関係式から計算すると、年間のCO2吸収量は海が21億t、森林などの陸域生物圏が10億tとなる。観測期間中の化石燃料に起因するCO2放出量は、年平均70億tで、その30%を海洋が、14%を陸地が、それぞれ吸収している計算になる。

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