(独)物質・材料研究機構は23日、サッカーボール型の炭素系ナノ材料「フラーレン」を用いて、ハスの葉のように水をはじく超撥水性の薄膜を作製したと発表した。基板上に塗るだけで簡単に薄膜が作れ、優れた環境耐性を示すことから撥水性が求められる様々な用途や電子材料などへの利用が期待されている。
まず、フラーレン上に紐のように長いアルキル鎖という構造(鎖のような構造の脂肪族炭化水素)を3本はやした分子を合成、それをジオキサンという有機溶媒に溶かし、60~70℃に加熱した後冷やすと超撥水性薄膜の“原料”になるμ(ミクロン、1µは100万分の1m)サイズの微粒子が沈殿する。この微粒子のジオキサン分散液を、基板上に塗布し、乾燥させると微粒子が積層化した超撥水性の薄膜ができる。薄膜上に水を垂らすとハスの葉の上のように水滴がまるまってしまうことを確認している。
開発したフラーレンの超撥水薄膜は、クロロホルム、トルエンなどに容易に溶けるため、回収して再利用できる。
また、収率100%で微粒子を得ることができるため、コスト面でも優れている。任意の基材(基板)に付与できるので、用途に制限がなく、耐薬品性、耐酸・アルカリ性、耐熱性があることから幅広い環境に対応できるという。
フラーレンとしての機能も持つので、超撥水性を備えた光電子材料としても利用可能とみられている。
No.2008-3
2008年1月21日~2008年1月27日