(独)森林総合研究所は8月29日、東京大学、早稲田大学、秋田県立大学と共同で木材から燃料用のエタノール(エチルアルコール)を製造する実証試験を実施すると発表した。秋田県と北秋田市の協力を得て北秋田市内に実証プラントを設置して平成24年度までの5年間にわたり技術の実証と改良を行う。
このプロジェクトは、林野庁の平成20年度森林資源活用型ニュービジネス創造対策事業の「木質バイオエタノール製造システム構築の実証事業」として行うもので、「アルカリ蒸解・酵素法」という森林総研が開発したバイオエタノール製造法を使って1ℓ当たり100円の生産コスト実現を目指すとしている。
原料の木材には、スギの残材などを使う。アルカリ蒸解・酵素法は、森林総研が農林水産省から委託され平成18年度から開発に取り組んできた木材からのバイオエタノール製造法で、破砕した木材に苛性ソーダ水溶液を加え、170ºCに加熱してリグニンを溶かし出して分離。残ったセルロース、ヘミセルロースをセルラーゼ(セルロース分解酵素)などの酵素で糖に変え、酵母によってその糖を発酵させてエタノールを生産するという方法。
北秋田市に建設する実証プラントは、エタノールを年間125kℓの規模で生産する。5年後には、木材2tから250ℓのエタノールが生産できるまで収率を高め、エタノールを1ℓ100円の生産コストで製造できるようにする。
政府のバイオマス・ニッポン総合戦略推進会議は、2030年における我が国の木質バイオマスからのエタノール生産可能量を200万~220万kℓ(約160万~196万t)と試算している。
No.2008-33
2008年8月25日~2008年8月31日