CO2プラスチックの飛躍的改質に成功:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は11月18日、二酸化炭素(CO2)を原料とするプラスチック(脂肪族ポリカーボネート)に他のプラスチックをブレンド、複合化することにより、実用化にはほど遠かった弾性率や強度などの力学的性能を大幅に向上させることに成功したと発表した。
 CO2からプラスチックを作る技術は、地球温暖化対策からも注目されている。しかし、現在CO2とプロピレンオキシドから作られているポリプロピレンカーボネート(PPC)の力学的性能は、実用化にはほど遠く、外観もプラスチックというより“べとべとした柔らかいゴム”のような物質であるため、大幅な性能改善が必要とされている。
 同研究所では、これまでに異種高分子を混合して高分子ブレンドを作製する方法を開発するなど、プラスチック材料同士をnm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)レベルで混合化する技術の開発を行ってきた。今回は、PPCの力学的性能を大幅に向上することを目指した。
 脂肪族ポリカーボネートのうち、特にCO2とプロピレンオキシドから作られるPPCに、第2成分の脂肪族ポリエステルを添加して複合した高分子ブレンドを作製した。さらに、第3成分となる脂肪族ポリエステルを添加して複合化PPCの微細構造を制御することにより、弾性率2.4GPa(ギガパスカル、1Gは10億)、強度17.9MPa(メガパスカル、1Mは100万)という優れた力学的性能を持つプラスチックを開発することに成功した。
 新しい複合化PPCは、耐熱性にも優れた高性能材料で、今後ポリエチレンなど石油資源から作られる汎用プラスチックに代わって利用されることにより、地球温暖化対策への貢献や、石油資源への依存度の低減化につながるものと期待される。

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