(独)産業技術総合研究所は11月19日、希少金属を含まない新型の色素増感型太陽電池を開発したと発表した。 色素増感型太陽電池は、植物が太陽の光で光合成を行う仕組みにならった電池で、現在主流のシリコン太陽電池が抱える製造コスト、高純度シリコンの供給不安などの問題を解決し、低コスト化につながるものと期待されている。印刷方式で製造できるため量産が容易で、シリコンを使わず、半導体との材料面での競合もないといった特徴がある。 しかし、従来型は、希少金属のルテニウム錯体を光吸収材料として用いるため、資源的制約による価格高騰が問題になると予測されている。 新技術は、光吸収材料に新開発の有機色素(カルバゾール色素)を使い、イオン性の電解液(イオン液体電解液)と組み合わせることで、耐久性を従来の20倍以上に当たる2,000時間以上に向上させると共に、色素増感太陽電池としては世界最高レベルの光電変換効率7.6%を達成した。 最終的には、光電変換効率をセルで18%、モジュールでは結晶シリコン系に相当する15%を目指したいとしている。 当面は、屋内用途での早期実用化を目標に、効率や耐久性のさらなる向上を図る。 この研究は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構の「産業技術研究助成事業」の一環として行われた。 詳しくはこちら |  |
希少金属を使わない新開発の色素増感型太陽電池(提供:産業技術総合研究所) |
|