(独)産業技術総合研究所は11月20日、旭化成ファーマ(株)と共同で免疫抑制剤「ミゾリビン」の血中濃度を短時間で測定できる酵素を見つけ、効率的な製造法を開発したと発表した。
ミゾリビンは、腎臓移植時の拒否反応の抑制や慢性関節リュウマチの治療などに広く使われている化合物だが、個人ごとの最適な投与量を把握するためミゾリビンの血中濃度を測定しながら投与する量を調整する必要がある。
ところが、ミゾリビンの血中濃度測定には、時間がかかるほか、多数の検体を同時に測定することができない、測定装置が限られた施設にしか配備されていない、などの問題を抱えている。
発見した酵素は、ミゾリビンリン酸化酵素といい、バクテリアの一種、放線菌を使って生産する。
現在、血中のミゾリビン濃度測定は、高速液体クロマトグラフィーという測定法で行われているが、1時間に3.3検体しか測れない。今回の酵素を使う酵素法を利用すれば汎用の生化学自動分析機による多検体同時測定が行えるようになり、1時間に600検体測定できるようになるという。
旭化成ファーマは、この研究成果をもとにミゾリビン血中濃度測定試薬を開発することにしている。
No.2008-45
2008年11月17日~2008年11月23日